簗瀬店スタッフブログ

　

はじめまして。
わたくし、栃木トヨタ簗瀬店　店長の町山と申します。



日頃より、簗瀬店をご愛顧いただきまして誠に有難うございます。
またいつもブログをご覧いただき、重ねて感謝御礼申し上げますとともに、今後ともどうぞ末永いお付き合いを宜しくお願い致します。

突然ですが、初めてのブログ投稿ということで、緊張いたしますがブログ担当者が
更新に奮闘しておりますので、ちょっとでも簗瀬店の雰囲気を皆様に知っていただければと僭越ながら投稿させていただきました。

早速ですが、先日ほっこりするお話をお客様から頂戴いたしましたので、ここでご紹介させていただきます。

わたくしが、営業スタッフ時代からお世話になり、永年教育関係のお仕事に携わってこられたお客様の随筆です。


『魔法のカルテ』　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　著：星野玲子


「お孫さんは、元気に学校に行っているかい」

「あれから飯もよく食べるようになって。熱も出さなくなってよ」

「そりゃあ、良かった。野球部のエースだものな。ところで、今日はどうしました」と、本題に入る。



弟の診察室での会話である。



専門は消化器外科医だが、七十九歳の彼はホームドクターを自任している。

毛髪は少々退化しているが、色白の丸顔で年齢より若く見える。



私たち兄弟姉妹は五人。小山市の北のはずれの田園地帯で育った。

家業は田舎によくある「よろずや」で、食料品や酒、日用品などを商っていた。



弟は次男で、私とは五歳違いである。

子供の頃はガキ大将で、仲間を引き連れて遊びまわっていた。

古びた社の裏にある雑木林や近くの掘割りと、遊び場には事欠かなかった。




転機は五年生の学芸会だった。野口英世の子供時代を演じたとき、自分も将来医者になって人の命を助けたいと、

本気で思ったという。元々本を読むことが好きだった彼が、内に目を向け始めたきっかけだった。



今は、息子たちと共に地域医療に携わっている。

当時の担任の先生方は、泉下で目を回していられることだろう。



弟の書くカルテには、病気以外のことも小さく書き込まれている。

患者一人一人の暮らしの背景だ。紹介者や家族構成。

梨農家の患者さんを例にとると、

剪定、花合せ、玉すぐり(摘果)の時期等、仕事に関することが多い。



私は密かに「魔法のカルテ」とよんでいる。心を開く鍵が隠されているからだ。




「Ａさん、梨の花合せは終わったかい」

「エッ、先生。なんで家のこと知ってるの」

「去年の今頃、朝早くから花合せをして疲れたと、診察に来ているよ」と言うと

頬を緩めて自分の体調について細かく話し始めるという。

診断に聞き取りは重要だ。



昼休みにクリニックを訪ねたときのこと。

宝物だと小さな紙きれを見せてくれた。

五歳の女の子からの手紙だ。

腹痛で母親と診察に来た子が、いったん診察室を出たのに戻って来て渡してくれたと。


「おじいちゃんせんせい。やわらかいこころもってるね。またやわらかいこころちょうだい。のあより」

と、たどたどしい文字が躍っている診察室の机の引き出しに入れて時々見ているという。


「先生、お大事に。私より長生きしてね」と言って帰るおばあさんもいると、弟は楽しそうに笑った。


こころがほっこりするいいお話でした。

当店もお客様に寄り添って、やわらかいこころを持って精進して参ります。

※こちらの随筆は、星野先生の許可を得て掲載しております。





栃木トヨタ簗瀬店

☎028-639-5311☎
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